インタビュー

(写真:左側) 楠木重範様 NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス 理事長 [大阪大学小児科医師]
(写真:中央) 米田光宏様 NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス 副理事長 [大阪大学小児外科医師]
(写真:右側) 大崎夕子様 NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス 運営委員 [総合病院受付]

◆ NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス

『チャイルド・ケモ・ハウス』は小児がん治療中の子どもたちとその家族のQOL(Quality Of Life-生活の質)に配慮した日本で初めての専門施設設立を目指すNPO法人です。小児がん患児が安心して化学療法(抗がん剤治療)を受けるための専門施設を設立する準備を進めています。30床程度の入院施設を建設し、阪大病院をはじめとする関西の医療機関と連携して、小児がんと診断された患児の化学療法をおこないます。将来的には、ここでの経験をモデルとして、同様の施設が全国にいくつか設立されることで、小児がんになったすべての子どもが、笑顔で家族と共に治療をすすめることができるような環境作りを目指して活動をしています。

▼ NPO法人チャイルド・ケモ・ハウスのHPはこちら
http://www.kemohouse.jp/

どのような活動をされていますか?

現理事長が小児がんという暗い過酷な病棟生活をどうにかしたいと、家族、兄弟ともいつでも会えるという小児がん専門の夢の病院設立を目的に活動しています。今までの入院生活とは違う、我慢をしなくていい環境作りを目指しています。

2005年に立ち上げをし、研究会を経て、2006年にNPO法人チャイルド・ケモ・ハウス(以下チャイケモ)を設立しました。

現在は、月に1回小児がん患者のケアに関する研究会をしています。
小児がん経験者の方と闘病生活と社会復帰までの話をしたり、チャイケモが支援しているチャイルドライフスペシャリストの方が人形や絵本などの遊びを通して検査の流れなどを教えて入院生活をサポートしています。

小児ホスピスの研究をしている、思春期のお子さんをもっている方の話を伺って、より良いチャイルド・ケモ・ハウスを作ろうと話し合いをしたりもしています。
寄付についてはどのように寄付を募ることができるかを検討し、グッズは個人の方や企業がアイデアを出してご寄付くださったものを、チャイケモの寄付者に感謝グッズとしてプレゼントしています。


小児がんについてお聞かせ下さい。

子どもの死亡原因1位は不慮の事故、2位は小児がんです。小児がんで年間800人くらい亡くなっています。手術をして治るものもあれば、治療(化学療法)を続けていかなければいけないものもあり、そのうちの7~8割が治るといわれています。

私達はチャイルド・ケモ・ハウスという名前のとおり抗がん剤治療、つまり化学療法(ケモセラピー)を中心とした治療を専門にする施設の設立を目指しています。小児がんで一番頻度が多いのは白血病です。白血病は血液のがんです。一言で白血病と言っても、化学療法のみで治癒するものから、骨髄移植をしないといけないものまで様々です。

血液は骨髄でつくられていますが、その血液が色んな役割の為に体中に広がる途中で一つの細胞が、無秩序に増殖していきます。その無秩序に増殖していく細胞のことをがん細胞といいます。そして、この細胞が血液中の白血球由来であれば、このがん細胞を白血病細胞と言います。

治療パターンで一番多いのは半年ほど入院して強い化学療法をうけ、1年半ほど通院していくというものです。

治療は1週間薬を投入し、2~3週間安静にしていなければなりません。その間免疫力が下がるので衛生面に特に注意し風邪やウイルスをもらわないように気を付け、食中毒をおこす食べ物は(お寿司など)は禁止しています。

免疫力が低下している子どもの達はいろいろな制限を受けて生活をしていますが、そんな生活の中でも少しでもたくさんの楽しみを見つけられたらと思います。


この事実は伝わりにくいですよね。

そうですね。一番伝わりやすいのは母親の体験談で、入院しただけでも大変なのにそれが長引くと更に大変だという親同士の苦労を伝えることだと思います。

大崎 : 親も風邪を引くことができません。入院している子どもをもつ親は基本的に病気をしません。

小児がんには社会的な問題もたくさんあり、解決していきたいと思っています。母親はつきっきりで看病をしているが、看病できない場合のフォローやサポート体制が必要です。

治療期間が長いですが、現代の日本のシステムには精神的にもサポートできる場所が少ないんです。子ども達が大きくなって社会復帰した時の問題もあります。たとえば、生命保険に入るには敷居が高かったり、治療後の後遺症や合併症とも闘わなければいけません。克服したといっても、どこで克服したことになるかわかりません。

5~10年外来して治療を続けていく人もいます。手術して終了という話ではありません。

よく、何故病気になるのですか?と聞かれるのですが、病気になるのには原因はありません。誰でもなる可能性があります。

遺伝性や誰かのせいではなく、成長の段階で発症しているだけなのです。

小児がんに対する正しい知識をもつまでに時間がかかります。それは、自分に関係ないという思いからきているのではないでしょうか。将来、100人1人が小児がん経験者になります。例えば、結婚相手など身近な人が小児がん経験者であればもっと小児がんについて正しい認識を持とうと思っていただけるのではないでしょうか。
病気への理解や解決する一つの手段として、小児がんになってもそのことをオープンにできるような環境にしていきたいです。子どもの方が病気に対してもオープンなんです。

私の娘は稀な白血病で亡くなりました。
お兄ちゃんが、「僕もそんな目で見られたくないから周りに言わないで」と言ったんです。すごくショックでした。
「そんな目でみられない為にお母さんは頑張っているんだよ」と言いました。「そんなことを言ったら妹がかわいそうだから、絶対に言わないで」と言ったんです。
あえて自分から妹の病気について言うことはありませんが、それを聞いた時は切なかったです。

他の白血病の子を持つお母さんも子供の病気のことを隠していて、兄弟にも「言っちゃだめ」と隠していました。
大人の都合や勉強不足からの「そういう目で見られたら」という気持ちをなくしていきたいです。

治療が終わり、学校に復帰する際に、病気のことをオープンにすることにしたら、PTAで子どもには刺激が強いからやめてくれということになったこともありました。

私の娘は稀な白血病で亡くなりました。
お兄ちゃんが、「僕もそんな目で見られたくないから周りに言わないで」と言ったんです。すごくショックでした。

「そんな目でみられない為にお母さんは頑張っているんだよ」と言いました。「そんなことを言ったら妹がかわいそうだから、絶対に言わないで」と言ったんです。
あえて自分から妹の病気について言うことはありませんが、それを聞いた時は切なかったです。

他の白血病の子を持つお母さんも子供の病気のことを隠していて、兄弟にも「言っちゃだめ」と隠していました。
大人の都合や勉強不足からの「そういう目で見られたら」という気持ちをなくしていきたいです。

治療が終わり、学校に復帰する際に、病気のことをオープンにすることにしたら、PTAで子どもには刺激が強いからやめてくれということになったこともありました。


イメージが先行してしまうのが残念ですね。

病気に対して話し合いながらもっとオープンにするべきだと思いますし、そうできる環境をつくりたいですね。

日本と欧米との環境の違いなどはありますか?

情報量としては日本の方が多いだと思いますが、欧米、特にキリスト教の国では病気の人たちに何かをするということが自然な形で行われているので、専門施設などはほとんど寄付で成り立っています。日本の場合だと国や市町村で設立していかなければいけません。このバックグラウンドの違いがあります。また、病気に対する意識の違いもあります。

チャリティに対する発想にも違いがありますね。チャリティくじや野球選手がきたりとか。


リボンマグネット活動へのご意見をお願いします。

グッズの中では比較的売れています。 ピンクリボンは乳がんというように、リボンが社会的に認知されてきていますよね。街中でリボンマグネットを見るとチャリティに関心あるのかなと思います。リボンマグネットを貼っている車を見ると、いい人だなと思ってしまいます(笑)

私もリボンマグネットをつけている車を見ると、なんのモデルかなと、車間距離を縮めてしまう時があります。

リボンマグネットは身近に感じますし、入っていきやすいですよね。

インタビューページを見た人にメッセージをお願いします。

小児がんに対する知識や理解を深めて欲しいです。

「がんになっても笑顔で育つ」がモットーです。
だから病気に対して正しい知識を持ってもらいたいです。つまり、もっと病気の勉強をして欲しいです。

例えば、病気が治って社会復帰しても生活に制限(食事、運動)がでてきてしまうこともあります。このようなことをみんなが理解し、病気になったことで引け目を感じなくてすむように活動していきたいです。

子どもより大人の方が病気に対する偏見のようなものがあります。まずは、病気を知ってもらうことが重要です。

がん=死というイメージがありますが、治癒率は7~8割と生存率が高いのです。
子どもの方が治療に対する強い体を持っていますし、子どもは生きることを諦めない意思が強いんです。

小児がんは中学3年生(15歳)までで、年間約1万人に一人の頻度で発生すると言われています。小児がんにならなかった9999人にとって、その一人は偶然代表して小児がんになってくれたわけで、9999人がその一人のために色々な手助けをしてくれるといいなと思います。勉強するということは知るということです。勉強と言っても難しい意味ではありません。例えば、白血病とは何かという授業があって、正しい知識をもてば(例えば誰にでも起こることだということなどを学べば)、偏見なども減ると思います。病気と言うのは突然襲ってきます。自分だけではなく、身内の誰かがなるかもしれません。ですから知識として持っていて損をすることはまずありません。

また白血病の種類も1つではないし、人それぞれで病気の種類も沢山ありますので、一言で小児がんといっても、たくさんの種類があるということも知って欲しいです。

がんになった子どもたちは普通の子どもたちです。その子たちが子どもらしく治療を受けられて、治ってから同じ子ども達の仲間に戻っていけることを皆さんに知ってほしいです。特別な子ども達ではないのです。


チャイルド・ケモ・ハウス様、ありがとうございました。



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