インタビュー

エイザベス・オリバー様
NPO法人アニマルレフュージ関西 理事長

◆ NPO法人アニマルレフュージ関西(ARK)

アークは非営利、非政治の施設団体であり、動物を愛し共に生き、積極的に救いの手を差しのべようとしている人達のネットワークをつくることを目的としています。また日本での動物の権利を主張し、動物の問題を国内的にも、国際的にも改善し、真に効力の有る動物保護法の設定のために活動する会員制動物救援組織です。アークの活動資金は全て、一般の方からの寄付や会費によるもので、約30名の専従スタッフとアークの活動に理解を示してくださるボランティアによって支えられています。
現在、行き場を失った犬約300頭、猫約200頭を保護し、心や体のリハビリを施しながら、里親探しを行っています。

▼ NPO法人アニマルレフュージ関西(ARK)のHPはこちら
http://www.arkbark.net/

アニマルレフュージ関西(ARK)の活動について教えてください。

ここは、動物を保護し、里親を募集して渡す、「シェルター」です。最初は私個人で始めました。当時は餌代や病院費用も、私が自己負担していたので大変でした。1990年に団体になり、友人もボランティアで協力してくれ、少しずつ大きくなってきました。現在ARKは大阪の北部の山奥で大変不便な場所に位置しており、手作りで始めたので、立地条件も坂が多く大変でした。

1995年までは犬が90匹だったのが阪神淡路大震災の影響で、動物の数が一気に3倍になりました。現在は犬が300匹と猫が200匹を保護しています。

保護をした時には体重を計り、健康チェックをしてから不妊去勢手術を施します。その時に、マイクロチップを埋め込み、病気の治療や心の治療などのリハビリをしてから里親を探します。しかし、里親を探すにはすごく時間がかかります。

犬は1年に平均で220匹くらい入ってきます。そして、その内で里親に出て行くのは160~170匹、その他の50~60匹は病気や寿命で亡くなります。


ここに引き取られるきっかけは?

飼い主が直接くる場合もありますが、すぐには預からずに飼い主を説得してアドバイスをします。飼い主が先にお亡くなりになったり、お歳を召して本人が施設に入るので飼えなくなるケースなど、本当に様々なケースがあります。

飼い主が事業に失敗して、動物が飼えなったり、虐待のケースもあります。

相談電話も毎日ありますが、ここの施設にも限界がありますし、お金の問題やスペースの問題にも限界があるので全ては受け入れられないのが現実です。

私たちの目的はお金ではないのですが、お金がなければここを維持できないのです。 特に、ここで一番お金がかかる費用は世話をする人たちの人件費です。二番目に病院代で、保険がきかないため、多い時には月に100万円ほどになります。後は印刷代、郵便代などの雑費です。逆に餌代が一番かかりません。餌はほとんど寄付で入ってきます。

シェルターについて教えてください。

ここのようなシェルターは、外国にはたくさんありますが日本にはこれだけの規模はほかにありません。 外国では、飼い主が動物を飼えなくなると大概はシェルターに連れて行き、別の里親を探すか他の施設に送られるのが普通ですが、日本の場合はどこかに捨てるか保健所に連れて行き処分されるかなので動物にとっての生き延びるチャンスはゼロに等しいです。

私の国(イギリス)では、今は犬や猫は売っていません。30~40年前は犬や猫は売っていましたが、ペットショップの裏は普通飼育施設で機械のように動物を繁殖させるような状況で、ずさんな管理状態で生まれてきたペットを消費者は買いたくないため、ペットショップが自然淘汰され、純粋な犬が欲しければ直接ブリーダーから購入するか、シェルターに行くようになっていったのです。
なかにはゴールデンやラブラドールレトリバーだけのシェルターもあります。

そして、イギリスやヨーロッパのペットショップでは、純粋に犬や猫以外のペットや餌を買うためのショップになっています。

しかし日本の場合は、ペットショップに行って犬や猫を買うのが当然になっていますし、日本には本当のブリーダーは全体の1~5%にすぎないと思います。あとは皆、ビジネスのための繁殖屋です。

イギリスのブリーダーは、みんな犬が好きだから趣味でいい犬をつくるために誇りをもってブリーダーになっている。だから自分の犬は売りたくないんです。誰にでも渡して繁殖されるのは困るでしょう?


シェルターそのものが知られていないですよね。

シェルターの運営は難しいです。今日本では、シェルターではなくて、動物かがかわいそうだから保護するところがあります。でもほとんどが悲惨な状況です。お金がなくなって、ボランティアも来なくなる、そういうところが多いです。

かわいそうなのは判るのですが、そのバランスが取れない。かわいそうかわいそうでどんどん受け入れても状況が悪くなる。基準が大事なのです。動物の数とか、世話をする人のバランスとかです。簡単にシェルターを作っていけばよいのではなくて、その基準をきちんとしなければいけないんです。


海外では、シェルターは国の設備なのですか?

国の設備ではないです。皆一般のボランティア団体です。団体の数は多いです。北ヨーロッパ、ドイツ、スカンジナビア、ベルギー、オランダなど、特に北の方は高いレベルです。今EUに入ってくる国はヨーロッパの基準があり、EUに入りたかったら動物福祉も守らないといけないので、かなりレベルが上がっています。
私は近いうちにベルリンに行きます。そこで160年の歴史あるシェルターを見学してきます。この間きれいに改築し、今世界一のシェルターになっています。そこでは、一匹の子犬に百人くらい希望者が待っています。シェルターに犬がいない状態です。
ここ(ARK)は・・・子犬がいつもいっぱいです。いつも入ってきます。


まだまだシェルターに動物をもらいに来よう、里親になろうという人が少ないんですね。

そうですね。まだシェルターのことを知られていないんです。
ここは、とても交通の便が不便です。

海外のシェルターは、高速道路上に国がシェルターの看板を出しています。だから皆シェルターの場所が判るし、訪れやすいのです。

日本では、こういったシェルターそのものがまだあまり知られていない、動物を捨てる人がいますが、 保健所でどのようになるかもあまり関心がないかも知れませんね。

保健所ではね・・・安楽死はないです。安楽死がどういうものかご存じですか?本来は安楽死は獣医が麻酔の注射を打ちます。

でも保健所では、炭酸ガスです。一匹ずつじゃないんです。炭酸ガスを使って安楽死をするには、体重を計る必要があります。10kgだったらこの量、20kgだったらこの量、量が決まっています。それが安楽死です。でも保健所では、何十匹・・百匹くらい? 小型犬、大型犬、みんな混ぜて、全然体重は計れないですね。同じ部屋に入れて、ガスを入れます。小型犬はすぐに死ねると思いますが、中型犬と大型犬は死ねません。でもあとは死んだかどうか全く確認をせずにすぐに火葬します。すごい苦しみです。・・・すごく苦しいと思います。

日本の保健所のガス室は20年前、30年前の古いもので、ガスの量も適切でないと思います。ガスをたくさん注入するケースはまだ良いけど、少ないケースは苦しみです。

イギリスでは、今はもう保健所はないですから、安楽死させるケースも、全部注射です。

日本の保健所はなぜ安楽死させることができないんでしょう?
安楽死させる保健所も中にはあるとは聞いています。

犬はプライドが高いので、大型犬などは特に足腰が立たなくなるケースがあるので、そういう場合はここでも苦しむ前に安楽死を考えます。

噛み付く犬は、矯正不可能と判断した場合、里親にも出せないし、シェルターとしての責任もあるので安楽死を選択します。ARKには、ボランティアの獣医が2名来てくれていて、安楽死させるときは、注射で安楽死させるようにしています。

安楽死の判断は、とても簡単ではありません。スタッフ皆考えて考えて、その動物にとって生死のどちらがベストか幸せかを考えます。


海外での動物愛護はどのようなものですか?

イギリスでは、大きな動物愛護団体があります。一番古くて200年の歴史があります。その団体では指導員が400人いて、動物を飼うことの指導をしています。イギリスでは毎年、動物虐待で60人くらい刑務所に入ります。

イギリスでは去年、動物福祉に関する法律が新しくできました。法律は70くらいあり、一番使っている法律は、1911年に施行された法律ですが、その法律はもう古くなりました。虐待が起きてから、指導員も警察も動く。でも新しい法律は虐待が起こりそうなら起こる前に逮捕でき、動物虐待を阻止できるようになりました。

日本でも法律がありますが、活用されなかったら意味がないのです。

日本での動物を飼うということはいかがですか?

アメリカ、イギリス、ドイツなど外国では、75~95%の飼主が、犬猫に不妊去勢手術をします。日本では、35%以下だと思います。
ARKでは、避妊去勢をしてから里親に出すようにしています。

日本では、子犬から飼うことで懐くと思ってますよね。でもそうではないと思います。子犬は一番大変。特に子犬の生後1ヶ月から4ヶ月は一番大事なときです。そのときに色々なことが吸収されます。例えば他の犬と触れ合うとか、そういう経験がすべて吸収されます。
人間の子どもは、大人になるのに18年かかります。でも犬は6ヶ月です。その間に全部吸収しなければいけない。その経験がいいものであったらだれでもに懐く、フレンドリーないい犬になります。社会化が大事なんです。

ここに入ってくる犬では、例えば足を触られるのはイヤ、抱っこはイヤ、それは元の飼い主の問題です。大きくなったら大変ですから、小さいときから毎日あちこち触って抱いたりすることが大事です。

よく散歩の時、向こうから他の犬が歩いてくると、まず飼い主が緊張してしまう、それを見て犬が警戒して、近づいてウワーっとなる。それは飼い主のしつけの問題です。

ここでは、散歩の時に他の犬と出会ったら、反対に向けておやつをあげたりしてすれ違っても興奮しないようにします。

リードをつけられているとき、犬はテンションが高くなると思います。イギリスでは、リードをしないで、ほとんどフリーです。犬と犬が初めて会う時も、犬には犬のボディランゲージがありますから、ほとんどフレンドリーです。

日本の犬は社会化が足りない。どこでも連れて行くことができない、行儀が悪いから建物とか入ることができない。悪循環ですね。イギリスではどこでも連れて行けます。

犬に対するしつけが日本ではレベルが低いんでしょうか?

最近はすごく良くなってきていると思います。新しいトレーナーは新しいトレーニング方法を勉強しているし、家の中で飼うことが増えてきてるでしょう? 特に関東の方では。昔の考え方では犬は鎖で外に繋いでいますが、新しい考え方は、ドッグランとか、健康のこととか、よく勉強されています。そのギャップがまだまだありますが、新しい考え方を持つ飼い主が日本でも増えています。


今回お話し聞くまで、日本と海外とがこんなにも違うということを思ったこともなかったです。

海外では、犬小屋がほとんど売ってないのです。ほとんどが家の中で飼っていて、例外は猟犬かワーキングドッグです。
ワーキングドッグでも広い小屋で藁一杯の所とかで寝ています。

ほとんどの人は家の中で飼い、どこでも連れて行くし、家族と一緒。お客さんが来たときも、お客さんが動物に挨拶します。クリスマスカードも届きます。

日本では、例えば私がどこかで飼い主と犬にあったとき、犬が私に寄ってきたら、飼い主は「ごめんなさい」と言って犬を引っ張りますね。私は犬が好きだから大丈夫なのに。そういうとき、犬にとってはストレスがたまります。

犬同士ではボディランゲージがあります。でも人間社会に入っても犬はボディランゲージをしているんです。犬はボディランゲージによって、嫌なことなどを人間に説明しているのです。それを判ってあげないから、噛んだり吠えたりするんです。

私は、今後老犬の介護とかケアのための施設をつくりたいんです。
ARKは、動物を守っている施設です。年取っている動物も若い動物も一緒にケアします。

イギリスでは、シェルターは一時預かりという施設です。受け入れて、里子にだす、というものです。それとは別に、サンクチュアリーという、ずっとそこに暮らすための施設、環境を造りたいんです。

老犬だと、若い犬が一緒にいるとかなりストレスを感じます。それがシェルターのストレスになります。

イギリスのシェルターでは、入ってから出るまでが平均一ヶ月以内と短いんです。でもARKはもっと長いです。そしてシェルターのストレスがでます。一般の家で飼われることがベストです。

今後どのようになっていくことが必要なのでしょうか?

飼い主皆さんが犬についてもう一度考えて勉強をしてほしいですね。どうしても決まった純血種を飼いたいときは、ペットショップではなくて、ブリーダーから譲り受けて欲しいですね。でもブリーダーもちゃんとチェックしてください。本当にいいブリーダーは親犬も見せてくれます。親犬を見せないのはおかしいと思いますから、どういう環境で、しっかりと犬の社会化ができるところで育っていたかが大事です。そして、決まった犬種である必要が無い場合は、保健所や、ARKのようなシェルターから譲り受けて欲しいと思います。成犬だと懐かない、と思い込んでいる人が多いですが、そのようなことは一切ありません。一度捨てられた犬は愛情に飢えています。新しい飼い主と信頼関係が築けた時、必ず素晴らしいパートナーになってくれるのです。

リボンマグネットのARKモデルを出させていただきましたが、以前からリボンマグネットはご存じでしたか?

はい。でも最初はマグネットとは知りませんでした。ステッカーだと思っていました。

アニマルレスキューと書いてあります。レスキューは一番簡単です。あとはどうするが大変です。レスキューしたら気持ちいいです。でもそのあと誰が世話する、誰がお金を出すとか、それを考えなくてはいけません。

このリボンマグネットを通じて、ARKのことを知ってもらったり、考えてもらうきっかけになってくれれば嬉しいです。

このページを読んでくださる皆さんにメッセージをお願いします。

私は動物がいない生活は考えられません。動物がいないと、自分の生活が物足りないです。家に帰るとき、動物はいつもウェルカムで出迎えてくれます。

動物を、自分の子どもと同じように考えてもらえたら、間違いないと思います。こちらから愛情を100%与えたら、動物からは200%返してくれます。


アニマルレフュージ関西(ARK)様、ありがとうございました。



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